DPM2は、ドリコールリン酸マンノース(DPM)合成酵素を正に制御するサブユニットとして発見された。DPM2が欠損するとDPM合成が100分の1以下に低下する。DPMは、N型結合型糖鎖、GPIアンカー、C結合型マンノース(おそらくO-結合型マンノースも)のマンノース供与体であるので、DPM2はこれらの糖鎖の合成を制御し得る因子である。その後、DPM2はGPIアンカー生合成の第一ステップであるPIへのNアセチルグルコサミンの転移を司るGPI-GnTにもサブユニットとして含まれていること、DPM2が存在しないとGPI-GnTの活性が1/3から1/4に低下することが見い出された。DPM2が小胞体の2つの複合体酵素の正の制御サブユニットとして働くことから、さらに別の酵素にも働いている可能性を検討した。エピトープタグを付けたDPM2を発現させた細胞から、DPM2をジギトニンで可溶化し、アフィニティ精製し、結合してくるタンパク質を質量分析で同定した。GPI-GnTの5つの成分を排除するため、GPI-GnT欠損細胞を用いた。その結果、タグを変えても共通に結合してくるタンパク質が、DPM合成酵素の残りの2成分であるDPM1とDPM3以外に数種類確認された。対照として用いたDPM3には、DPM1とDPM2しか結合しなかったので、これらの数種類のタンパク質はDPM2に特異的に結合していると考えられる。これらのうちの2つは、oligosaccharyltransferase(OST)の構成成分であったので、DPM2はOSTに特異的に結合していることが予想された。
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