研究課題/領域番号 |
14082206
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
木全 弘治 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 教授 (10022641)
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研究分担者 |
羽渕 脩躬 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90024067)
羽渕 弘子 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 講師 (90329821)
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キーワード | ヘパラン硫酸 / 細胞増殖因子 / 形態形成因子(モルフォゲン) / 濃度勾配 / コンドロイチン / プロテオグリカン / グリコサミノグリカン / 遺伝子欠損マウス |
研究概要 |
ヘパラン硫酸(HS)O-硫酸転移酵素群の発現変化によるHS鎖構造変と組織形態や機能異常から証明する。 マウスの実験系:HS6ST-1遺伝子ヌル(KO)マウスは胎盤形成不全により胎児期15.5日までに多くが死ぬ。迷路層におけるCD31陽性細胞率から血管形成は60%に減少し、VEGF-AのmRNAと蛋白質レベルの半減を確認した。一方、Wnt2はmRNAレベルで影響がなかった。胎盤HSは低6-O-硫酸化していたから、このHSによりWnt2の不十分なシグナル活性化、下流のVEGF-A発現と自身の活性低下のためと結論した。培養細胞を得て証明を試みている。肺胞細枝の形成不全も観察され、同様にWntと下流のFGF-10シグナル異常によると思われた。HS6ST-2KOマウスは形態的、行動的異常を示さなかったが、一部の組織で低6-O-硫酸化を観察し、負荷時における異常の有無を検討している。HS6ST-1,-2遺伝子ダブルKOマウスは胎児性15日までに完全致死となり、死因はHS6ST-1KOマウスに酷似し、両酵素間のredundancyの関与を示唆した。 ニワトリ胚肢芽の実験系:HSのO-硫酸転移酵素群の胚肢芽における発現部位変化に対応する微細構造の部位依存的の変化を検出した。エレクトロポレーション法による予定肢芽部位へのsiRNA投与によるHS2STの発現抑制は、肢芽の外胚葉性頂堤(AER)の一部欠損を、重度のものでは二股断列を示した。欠損領域ではAERでFgf-8の、間充織側でFgf-10の発現低下を認め、ERKのリン酸化上昇によるAER機能異常をもたらした。 ショウジョウバエの実験系:HS2STとHS6ST遺伝子のP-エレメントインサージョンによる変異欠損株単離に成功し、初めてHS2STとHS6STの信用度の高い機能解析系ができた。HS3STのRNAi法による発現抑制による3-O-硫酸化の低下は、Notch変異体症状を招き、その蛋白質レベルの著しい低下を招き、3-O-硫酸化HSは、Notchの細胞膜表面への提示、または安定化に関与し細胞間コミュニケーションに必須と思われた。 ヒトなどの疾患との関連の研究:ヒト血液中でのHS6STの存在を特異抗体により確認し、疾患との関連と検討中である。分泌の機構について特異プロテーゼの関与を見出した。
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