研究課題
特定領域研究
中枢神経系に存在するコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)の機能を、(1)中枢神経特異的CSPGであるニューログリカンC、(2)脳の主要な細胞環境分子としてのコンドロイチン硫酸(CS)糖鎖とに分けて解析した。I.ニューログリカンC (NGC)の機能解明:NGCは私達が発見した膜貫通型CSPGである。Site-directed mutagenesisにより、CS糖鎖は、マウスの配列で123番目のセリン残基から伸長していることがわかった。NGCの細胞外領域には、このCS結合領域(CS-ドメイン)以外に、酸性アミノ酸のクラスター(AA-ドメイン)と上皮増殖因子(EGF)様配列を含むドメイン(EGF-ドメイン)がある。CS-およびAA-ドメインは、成長因子ミッドカインと親和性を示した。また、AA-およびEGF-ドメインは神経突起伸長促進活性を示した。さらに、EGF-ドメインはEGF受容体ErbB3と結合し、細胞増殖活性を示した。NGCの遺伝子改変マウスを作製したところ、行動異常が認められた。以上の結果から、NGCは脳における重要な機能分子であることがわかった。II.コンドロイチン硫酸糖鎖の機能解明:神経幹細胞は成長因子FGF-2存在下で増殖するが、発達期の脳から単離・精製したCS糖鎖がその増殖を促進した。この増殖促進活性には、イズロン酸を含むCS構造、あるいはガラクトサミン残基の4位と6位に硫酸基を持つ高硫酸化構造(E構造)が関与していることがわかった。また、E構造を持つCS糖鎖には、脳損傷時に起きる興奮性神経細胞死を抑制する活性が認められた。これらの結果は、CS糖鎖が脳の生理活性分子であることを示している。
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