研究課題
本年度は、最終成果のとりまとめに向けて、調査・研究会・国際会議を実施した。まず調査では、春日がフランスの地域通貨および贈与の資料収集をおこない、パリの研究者と研究打ち合わせをおこなった(9/8〜9/17)。中川はオランダの国際アジア研究所にて、20世紀初頭の東インドネシアの換金作物栽培に関して、集中的な文献研究に従事した(4/3〜5/12)。田中はインド西岸部にてアーユルヴェーダの実践について調査し(12/2〜12/17)、栗本はナイロビ在住の南部スーダン難民コミュニティにおける貨幣経済の浸透と贈与交換の変化について調べた(2/12〜2/20)。また杉山は、ベトナム北部農村の資料を収集して、アフリカ農耕民社会との比較をこころみた(8/1〜8/18)。これらに加えて、日本・サモア・ミャンマーなどの贈与交換の資料収集につとめている。各人による資料分析は、研究会にて発表され討議されて、質の高いものに仕上がりつつある。本年度は本特定領域研究の文化資源班(6/11)(研究課題「文化資源の生成と利用」、代表:山下晋司)や生態資源班(11/12)(研究課題「生態資源の選択的利用と象徴化の過程」、代表:印東道子)とも共同研究会を開き、広い視野からの検討をこころみた。とくに丸山は、商品と贈与に関しての先端的な理論を提起した。以上の成果は、2005年12月にゴア(インド)にて開催した国際会議で発表された。海外から招いたKeith Hart(ロンドン大学)、Chris Gregory(オーストラリア国立大学)、David Akin(ミシガン大学)ら著名な研究者の発表とあわせて、参加者による集中的な議論が展開され、本研究の水準の高さを確認できた。本年度の活動をつうじて、貨幣資源に関する多角度的な考察が形を整えつつあり、最終年度を迎える準備が整った。
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ポスト・ユートピアの民族誌(田沼幸子編)大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」。 5巻
ページ: 181-193
ポスト・ユートピアの民族誌(田沼幸子編)大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」。
ページ: 223-241
文化人類学入門-古典と現代を結ぶ20のモデル(山下晋司(編)),弘文堂。
ページ: 156-167
Displacement Risks in Africa: Refugees, Resettlers and Their Host Population. In Ohta, I. and Yntiso D. Gebre (eds), Kyoto: Kyoto University Press.
ページ: 338-358
海外事情 53・4
ページ: 2-21
アジア太平洋環境の新視点(松原望, 丸山真人(編)),彩流社。
ページ: 259-278
Menschenrechre, Kulturen und Gewalt: Ansatze einer interkulturellen Ethik, Nomos In Kuhngardt, Ludger and Mamoru Takayama (eds).
ページ: 361-384
人文学報 92巻
ページ: 1-39
ジェンダーの人類学(宇田川・中谷編),世界思想社。 (印刷中)