研究概要 |
1.パケット流の渋滞発生の解明と強化学習による渋滞回避についての研究 コンピュータネットワーク上でのパケット送受信について、バッファーが一杯のノードにはパケットを送信しないという設定の下では、パケット数が増加するにしたがって、パケット流に渋滞が発生する。 渋滞回避のために強化学習(Q学習)を提案して、ネットワークトポロジーによらずに普遍的に渋滞が緩和されて、高効率・高性能なパケット流のルーチング制御が可能であることを示した。これらの研究成果はICENCO2004、マッセイ大学の招待セミナー(2004)、STATPHYS22(2004)のサテライト会議でも招待講演として発表した。PHYSICA A,349,2005に掲載予定. 2.パケット流に最適なネットワークの設計についての研究 ネットワークの構造は効率の良いパケットの送受信を行うために重要な役割を果たす。このために、効率の良いパケット流に最適なネットワーク構造の解明と設計のための研究を行った。この研究成果は第6回情報論的学習理論ワークショップ、2004年電子通信情報処理学会ニューロコンピューティング研究会、STATPHYS22(2004)のサテライト会議、日本物理学会第59回年次大会などで発表した。 3.パケット流に最適なスケールフリーネットワークの設計についての研究 WWWやインターネットなどのネットワークがスケールフリー的であることが最近明らかになってきた。成長のあるネットワークにおいてスケールフリー性の発現機構の研究は盛んになされている。もし、成長がないか、成長があってもすごく遅くてその成長を無視できる場合に、スケールフリー性を発現するネットワークは構築可能であるかという視点からの研究を行った。パケット送受信に関する効率を表わすコスト関数を定義して、リンクの繋ぎ換えを行うことにより、パケットの目的地の分布がバッファーサイズのベキに比例する場合に、コンピュータネットワークはスケールフリー的なネットワークへと自己組織化することが判明した。これらの研究成果は日本物理学会2004年秋季大会で発表し、Physica Aに掲載が決定した。
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