研究概要 |
1.パケット流のルーチング制御についての研究 大規模コンピュータネットワーク上でのパケット流に対する自立的・適応的な処理を可能にする統計物理学的モデルを提案した.各ノードの近傍ノードに蓄積されているパケット数(すなわち待ち行列の長さ)とパケットの目的地ノードまでの最短距離とのトレードオフが存在するように体系のエネルギー関数を定義し,パケットが次に送られるべきノードを決定するようなシステムを考える.ニューラルネットワークによる定式化,イジングモデルによる定式化,また渋滞等にも対応するように強化学習を用いるモデル等を提案し,高効率で高性能なパケット流のルーチング制御が可能であることを示した. 2.パケット流に最適なネットワークの設計についての研究 パケット流に効率の良いネットワーク構造の決定の研究は,高度に発達するコンピュータネットワーク社会に対して重要な課題である。本研究では,パケットの送受信の効率を評価するコスト関数を定義し,パケット送受信に最適なネットワーク構造を決定した.その結果,目的地がランダムに設定される場合にはランダムネットワークが得られること,また,目的地がバッファーサイズのベキに比例し,バッファーサイズの分布もベキとなっている場合には,スケールフリー性が発現することを示した. 3.スケールフリーネットワークの生成メカニズムに関する研究 一般に,成長のないネットワークがスケールフリーネットワークへ自己組織化する可能性を調べた.リンクの再結合の過程に適応度分布を導入することにより,成長のないネットワークにおいてもスケールフリーネットワークが現することを示した.なお,2部グラフに対しても同様の振る舞いが観測された.
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