研究概要 |
関数系としてはガウス模型と同じ形をもち,階調値は整数値であるとした確率モデルを事前確率として仮定したマルコフ確率場モデルに対してハイパパラメータの最尤推定値をクラスター変分法により求め,いくつかの標準画像に対して性能評価を行った.この確率モデルはQ状態イジング模型とよばれ,やはり修復画像に良好な画質が得られることが数値実験を通して新たな知見として得られた.また,同じ確率的画像処理に対するハイパパラメータの推定アルゴリズムの収束性に関する統計的性能評価をレプリカ法により行った.その成果の一部は学術雑誌J.Phys.Aに2本の学術論文として掲載されている.そのうち1件は掲載後4ヶ月ほどの間に100件を越えるインターネットからのダウンロードがあったとJ.Phys.Aからの知らせがあった.またその一方で,階調値が実数値である場合に同じ可解確率モデルとしてのマルコフ確率場モデルに対して平均場近似およびクラスター変分法といった統計力学的近似解析手法を用いて周辺尤度を計算し,その各近似における振る舞いを解明した上で,ハイパパラメータの決定を行い,厳密解・平均場近似の結果と比較することにより統計力学的手法の精度の検討を行った.その成果の一部は2003年情報論的学習理論ワークショップで公開した.更に,人物の動きベクトル場抽出システムの一部に平均場近似を導入し,数値実験を通して、より良好な動きベクトル場の抽出が可能になるという新たな知見を得た.その成果の一部は2003年情報論的学習理論ワークショップで公開した.これは平成15年度の本計画研究の研究支援者である吉池紀子氏からの技術提供を受けて初めて達成されたものである.
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