研究概要 |
本研究課題では,統計力学などの分野で提唱されている様々な確率的手法のアルゴリズム的な有効性を解析することを目的としている.初年度である本年度は,そのための解析手法の確立を目指し,具体例として,ランダム局所探索法を取り上げ,その基礎的な性質やアルゴリズムの効率の研究,さらには,アルゴリズムの平均的な振舞いに関する解析を行った. 渡辺らのグループでは,疎パリティ検査行列を持つ符号に対するランダム局所探索法による復号アルゴリズムを対象として,その平均的な振舞いを調べた.同様の研究を基盤(c)で行ってきたが,本研究では,解析に都合のよいようにアルゴリズムを改良したため,従来の計算機実験で見えにくかった点が明らかになった.その結果,非常に素直な形の解析の道筋を見つけることができた.この解析手法は,一般に多くの確率的アルゴリズムの解析に利用できると思われる.ただし,その正当性についての厳密な評価は今後の課題として残されている. 一方,基礎的な面では,問題の平均的な難しさに関する解析(研究発表にある最初の論文)や効率的な確率的な評価法についての一般論(研究発表の2番目の論文)などの研究も行った. また,岩問のグループでは,様々な離散数学的問題の難しさの解析を行った(研究発表にある3〜5番目の論文).
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