研究概要 |
本研究では目的関数値のみを用いて最適化計算を行う手法として,遺伝的アルゴリズムに着目し,遺伝的アルゴリズムにおける多数の探索点を用いる最適化プロセスを確率分布の発展という視点から捉え,類似の探索アルゴリズムである分布推定型最適化アルゴリズムとの比較検討を行おうというものである.平成16年度には平成15年度に引き続き,個体群ベースの確率的探索手法の評価法を検討し,遺伝アルゴリズム(GA)に基づいた比較手法として,任意の確率的探索過程について擬似突然変異成分と擬似交叉成分とを求める手法を提案し,実際にこの指標を用いて単純GA,スピングラス型GA,熱力学的GA等のGAの構成法と分布推定アルゴリズムの主要な実装であるベイジアン最適化アルゴリズム(BOA)の発展に伴う多様性維持特性について比較研究を行った. このほか,GAは最適化すべき関数にノイズが重畳している場合にも最適化が行える手法であることから,乱数を用いた計算機シミュレーションにより評価値を得ながらシステムを最適化するシミュレーションベースの最適化への適用を考え,平成15年度に引き続きGAによるエレベータシステムの運行制御系のシミュレーションベースの最適設計への応用を進めている.そこでのGAによる意思決定メカニズムの実装方法として,システムの特徴量から決定変数への写像を例題ベースでおこなうExemplar Based手法を考案し,いくつかの例題への適用でその効果を確認するとともに,エレベータ制御系シミュレータとの連携の実装を進めた.
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