研究分担者 |
朝廣 雄一 九州産業大学, 情報科学部, 助教授 (40304761)
定兼 邦彦 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教授 (20323090)
櫻井 幸一 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 教授 (60264066)
藤田 聡 広島大学, 工学部, 助教授 (40228995)
溝口 佳寛 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (80209783)
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研究概要 |
分子計算には計算過程の物理的拘束や選択的ランダム性など,自律性が由来すると期待される魅力的な側面を有するものの,現在の所は,ごく大雑把に言えば,塩基間の相補性を計算規則とする超並列シラミ潰し探索に留まっている.そこで,分子計算の特徴を生かした分子プログラムの設計論の開発が焦眉の課題であり,これが本特定領域研究を行う目的の一つであった.分子計算の自然な見方の一つは個々の生体分子をエージェントとする自律的分散型システムと捉えることである.このようにすれば,分子計算をインターネットなどの計算機ネットワークや群ロボットシステムなど他の分散型システムと同じ観点から検討できるとともに,セルオートマトンやタイリングといった,計算機科学者にとってなじみの分野で蓄積されてきた多くの研究成果を自然に継承できると期待できる.これが申請者達の分子計算に対するアプローチ方法である. 本年度の研究成果のいくつかを概説する.山下は,自律的に動作する大量のコンポーネントから構成される自律分散システムの制御法について検討を行った.山下・定兼は,分子計算における計算速度の見積もりのために,分子の二次構造の変化をマルコフ過程とみなし,分子が安定状態に至るまでの時間の解析を目指した.また,定兼はDNA配列の高速検索のためのデータ構造とその構築アルゴリズムについて研究した.朝廣,藤田,小野,山下はDNA2次構造の反応障壁見積もりを最適化問題の観点から取り組み,このために必要となる発見的アルゴリズムの並列/分散化を検討した.櫻井は,一方向性関数と分子現象の非可逆性に関する調査研究を行った.貞広はタイリングに関する考察を行った.溝口は分子プログラミングのモデルを考える際の複数の遺伝子集合に対しての一括変換を表現するために,有効となる確率的グラフ書き換えシステムに関する考察を行った.
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