研究分担者 |
上田 和紀 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10257206)
楠元 範明 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教授 (60277861)
榊原 康文 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10287427)
小林 聡 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (50251707)
鈴木 泰博 名古屋大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (50292983)
|
研究概要 |
17年度における研究成果は3つの課題に大別される.その概要を以下で述べる. (1)自律的分子計算系の基礎的考察:(a)1次元記号列の集合と二重鎖集合との間を関係付ける2つの写像linearizerとdoublerを導入し,これまで独立に研究されてきWatson-Crickオートマトンモデル,Sticker計算モデルなどの種々の計算モデルに対する統一的な特徴付けを得ることができた.(b)前年度に得られた任意の正則な配列集合に対する二次構造予測アルゴリズムを有限集合に制限することにより,O(n5)の計算時間で動作するアルゴリズムを考案し実装した。(c)有限オートマトンを大腸菌の細胞内分子メカニズムを用いて実現する研究を行った.大腸菌内のタンパク質合成メカニズムを用いて有限オートマトンを計算する方式と実験プロトコルを設計した. (2)抽象化学反応計算モデルの研究:(1)ARMS(抽象化学系)を用いて"小数粒子多自由度系"の観点から確率的な立場からの検討,(2)P53(アポトーシス系)のモデル化と数理的特徴付け.(1)については2者Lotoka-Vortela(LV)模型において大数粒子系では安定振動を行うのに対し,少数粒子系にすると大数での場合と異なった振る舞いをみせることを確認し,かかる事象の原理を解明するために状態空間の数え上げを行いその各々について状態遷移確率(反応規則の適用確率)がどのように変化するかを調査した。 (3)並列計算系による分子計算シミュレータの設計と試作:本年度の研究では(i)非決定的λ計算および名前呼びλ計算,(ii)非同期π計算,(iii)bigraphical reactive systems, (iv)CHR(Constraint Handling Rules)のような代表的かつ広範な計算モデルをLMNtalでエンコードして,実際に処理系上で動作させることに成功した.
|