研究課題/領域番号 |
14086202
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 春雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60114485)
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研究分担者 |
舘林 和夫 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50272498)
武川 睦寛 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30322332)
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キーワード | 細胞内シグナル伝達 / ストレス応答 / MAPキナーゼ / ヒト培養細胞 / 酵母 / 分子生物学 / 細胞生物学 |
研究概要 |
1.ヒトにおけるストレス応答シグナル伝達経路の制御機構。 多機能なサイトカインであるTGF-βは、Smad蛋白による転写制御により様々な機能を発現するが、同時にストレス応答MAPキナーゼであるp38を活性化することも知られていた。しかし、その活性化機能については不明な点が多かったので、その分子機構を解明した。その結果、膵癌細胞や正常上皮細胞において、TGF-βはSmad経路によってGADD45βの発現を誘導することが分かった。我々は以前にGADD45βがヒトストレス応答MAPキナーゼ経路のMAPKKKの一つであるMTK1の活性化因子であることを報告している。このことは、したがって、TGF-βがGADD45βの発現を介してMTK1を活性化し、究極的にp38の活性化に至ることを証明した。 2.酵母細胞におけるストレス応答シグナル伝達経路の制御機構。 酵母ストレス応答MAPキナーゼ経路は高浸透圧ストレスに応答して、Hog1 MAPKを活性化するが、浸透圧検出機構については不明な点が多い。本年度は、酵母の浸透圧ストレス検出センサーであるSln1とSho1の作用機序の同異を調べる目的で、浸透圧以外のストレスによるこれらセンサーの活性化を調べた。その結果、Sln1センサーは浸透圧変化の他に、細胞壁の欠損や抗生物質(nystatin)による細胞体積変化に敏感に反応することが明らかになった。このことより、Sln1センサーは浸透圧変化そのものではなく、浸透圧変化により引き起こされた原形質分離を認識していると考えられる。いっぽう、Sho1センサーはこれらの処理には全く反応しないのみならず、細胞周期の特定期間のみで活性がみられた。Sho1が細胞分裂期のneck領域に局在していることと併せて、Sho1の機能は細胞分裂機構と密接に関連していると考えられる。
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