研究課題
特定領域研究
哺乳類MAPキナーゼ(MAPK)経路の足場タンパク質は、シグナル伝達の特異性維持およびMAPKの時空間的制御に関わる因子と考えられているが、詳細については不明な点が多い。本研究課題では、我々のグループが同定した足場タンパク質JSAP1、およびそのファミリーメンバーJSAP2を中心に、細胞レベル・個体レベルでの解析を行った。先ず、in vitro分化系を用いたjsap1欠損マウス胚性幹細胞の解析を行い、JSAP1は心筋発生および神経発生において重要な役割を担っていることを明らかにした(JBC, 2002; BBRC, 2005)。また、JSAP1-JNKシグナル伝達系はFAK (focal adhesion kinase)と協調的に働き、細胞移動の制御に関わることを見いだした(Oncogene, 2002; JBC, 2005)。足場タンパク質JSAP1は細胞間相互作用にも関与しており、PC12h細胞では細胞接着分子N-カドヘリンを介して制御していることを見いだした(BBRC, 2007)。免疫組織化学法とin situハイブリダイゼーション法を用いて胎仔および成体マウス脳を詳細に調べ、発達過程および成体脳におけるJSAP1-JNKシグナル伝達系の重要性を強く示唆する結果を得た(JNC, 2006)。さらに、jsap1ノックアウトマウス(KO)および小脳初代培養系を用いた解析を行い、JSAP1-JNKシグナル伝達系は小脳顆粒前駆細胞の増殖プログラムを分化プログラムに変更する役割を担っていることを見いだした。一方、jsap2 KOマウスを作製・解析し、JSAP2が発生過程において重要な役割を担っていることを明らかにした。これらの成果は、難治疾病の病因解明や治療にも繋がると期待されるものである。特に、主に小児の小脳に発生する髄芽腫は、小脳顆粒前駆細胞の異常増殖に起因すると考えられているが、その異常増殖はJSAP1-JNKシグナル伝達系の破綻によることが強く示唆された。このように、本研究成果は、悪性腫瘍などの発症機序に関する分子レベルでの理解に貢献するとともに、JSAP1-JNKシグナル伝達系を標的とした薬剤開発にも応用されるであろう。
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