研究課題/領域番号 |
14086207
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
村田 紀夫 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (90011569)
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研究分担者 |
三上 浩司 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40222319)
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キーワード | 環境センサー / ヒスチジン・キナーゼ / レスポンス・レギュレーター / システマティック・ゲノミクス / ラン藻Synechocystis sp. PCC 6803 |
研究概要 |
ラン藻Synechocystis sp. PCC6803において通常条件下で抑制型因子として機能している環境ストレスセンサーとそれらと協調して環境ストレス誘導性遺伝子の発現を制御しているレスポンス・レギュレーターをシステマティック・ゲノミクスの手法により同定した。 (1)ヒスチジン・キナーゼから種々の環境センサーを同定する研究 ラン藻Synechocystisの全ヒスチジン・キナーゼ遺伝子のノックアウト・ライブラリーを用いて非ストレス条件下での遺伝子発現パターンをDNAミクロアレイ法により網羅的に解析した結果、マンガン欠乏センサー(ManS)、高温センサー(Hik34)およびカリウム欠乏センサー(Hik20)を同定した。これらのヒスチジン・キナーゼのノックアウトにより通常条件下において抑制される遺伝子群が発現しており、これらが通常条件下で抑制型因子として活性化されている環境センサーであることが明らかとなった。この場合、ManSのノックアウトの効果はマンガン・イオン輸送系の各因子をコードするmntCABオペロンに、またHik20のそれはカリウム・イオン輸送系因子をコードするkdpペロンにそれぞれ特異的であったが、Hik34はいくつかの高温誘導性遺伝子の発現に関わっていた。 (2)レスポンス・レギュレーターのスクリーニング ラン藻Synechocystisの全レスポンス・レギュレーター遺伝子のノックアウト・ライブラリーの作製を完了した。これを用いてDNAミクロアレイ法による非ストレス条件下での遺伝子発現パターンの解析を行い、これまでにmntCABオペロンが通常条件下においても発現している変異株を見出している。このオペロンはManSの支配下にあることから、変異の原因遺伝子であるレスポンス・レギュレーター(ManR)がManSとマンガン欠乏シグナル伝達経路を構成していると考えられた。さらに、ManRがマンガン欠乏誘導性遺伝子のプロモーター領域に結合したことから、これが通常条件下で抑制型転写因子として機能していることが明らかとなった。現在、Hik34やHik20と協調して働くレスポンス・レギュレーターの同定を同様の方法で行っている。
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