研究課題
ラン藻Synechocystis sp.6803において高浸透圧ストレス条件下で遺伝子発現を活性化する因子として働く環境ストレスセンサーとそれらと協調して働くレスポンス・レギュレーターをシステマティック・ゲノミクスの手法により同定した。1.ヒスチジン・キナーゼから種々の環境センサーを同定する研究ラン藻Synechocystisの全てのヒスチジン・キナーゼ遺伝子とレスポンスレギュレーター遺伝子のノックアウト・ライブラリーを高浸透圧ストレス条件下での遺伝子発現パターンをDNAミクロアレイ法により網羅的に解析した結果、高浸透圧ストレスセンサーとしてHik33、Hik34、Hik10、Hik16、Hik41及び転写調節因子としてRre31、Rre1、Rre3、Rre17を同定した。これらの因子のノックアウト株では、それぞれ異なる遺伝子の塩ストレス誘導的な発現が抑制されることから、これらが高浸透圧ストレスにより活性化される二成分系であることが明らかになった。これらの二成分系は塩ストレスの二成分系とは全く同じであるにも関わらず、ストレスの違いによって異なったセットの遺伝子を誘導した。これらの事実から、各ストレスに対して特異性を示す未知因子(タンパク質)の存在を予測した。それらの同定は今後の需要な研究テーマである。2.通常の条件で培養したSynechocystisに0.5M Sorbitol条件下の高浸透圧をかけると野生株では細胞質の体積が約40%に収縮する。それに対してSynechocystisに1個しか存在しない水チャンネルの遺伝子をノックアウトした変異株で同様の浸透圧をかけても全く収縮がみられない。この高浸透圧による遺伝子発現をDNAミクロアレイを用いて調べると、多くの高浸透圧誘導性遺伝子の発現がみられた。これらの結果から、高浸透圧の検知においては、細胞質膜やペリプラズムの構造変化は重要な役割を果たしていないことがわかった。
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