研究課題
1)ビクトリア湖産シクリッドの顎部多様化と種分化の分子メカニズム種間での顎部形態の違いを明らかにするためには、形態の違いが発生のどの段階で現れるか明らかにする必要がある。そこで本年度はシクリッドの1種、Oreochromis niloticusを用いシクリッドの発生のステージ記載を行い、どのステージで顎部の形成が始まるかを明らかにした。また形態形成の研究に必要なトランスジェニックフィッシュ作製方法の開発を行い、Tol2トランスポゾンを用い非常に効率の良い遺伝子導入法の開発に成功した。2)ビクトリア湖産シクリッドの視覚受容体の多様化と種分化の分子メカニズム本年度までに視覚の適応を介した種の分化と形成の分子機構が明らかにされた。本年度は、この機構がビクトリア湖産シクリッドの共通の機構であるか、またこの機構は同所的に起こりうるかを検証した。水深や透明度などビクトリア湖の様々な環境に生息する種の視覚関連遺伝子を調べた。その結果、生息環境の光に適応するような分化がこれら遺伝子に見られた。また視覚を介した生殖的隔離に重要な体色も視覚関連遺伝子の分化に対応するように分化していた。さらにこれらの分化は同所的にも起っていた。これらのことから視覚め適応を介した種の分化と形成の分子機構はビクトリア湖のシクリッドで共通に起ってきたことだと考えられた。3)ビクトリア湖産シクリッドの嗅覚コミュニケーションと種分化の分子メカニズム哺乳類フェロモン受容体ホモログであるVIR遺伝子をシクリッドから単離し、その塩基配列をアフリカ三大湖シクリッド24種間で比較した。その結果タンガニイカ湖のグループの放散した時期にアミノ酸変異が多く蓄積していることが判明した。また、アミノ酸を受容することが知られているV2R-type嗅覚受容体遺伝子クラスター領域の単離をめざし、BAC end walkingを開始した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
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