研究概要 |
タンガニイカ湖および琵琶湖の魚類群集において、過去10年間の調査結果を解析し、全種の左右性の比率が約5年周期で振動していること実証した.その駆動力として反対称捕食が重要であることを明らかにした. また,イカ類の甲羅を使うことで,イカ類の左右性を判定する手法を開発し,イカ類にも全て左右性があることを実証した.そして,フィリッピン海において,コウイカ類の現地調査を行い、コウイカにおいても,左右性の比率は明瞭に震動していることを明らかにした.また,高知市の水族館と共同で,飼育下におけるコウイカの捕食行動を高速でのビデオ撮影を行って解析した.その結果,捕食行動においても,各個体の左右性に応じて,獲物への接近と触腕の伸ばし方に明瞭な左右性が発揮されていることを実証した. さらに,イソガニ類を用いて,カニ類の左右性を判定する手法を開発し,ハサミだけからでは左右性の明瞭でないカニ類においても、全ての種で左右性が存在することを実証した.そして,伊勢湾に調査定点を設け,イソガニ類を捕食しているカサゴ類2種の定期採集を行い,カサゴの左右性の比率とイソガニ類の左右性は,魚類における被食者-捕食者の関係と同様の関係をもって震度している可能性を示した.また,カサゴ類の胃内容分析を行い,胃中から得られるイソガニの左右性を捕食者の左右性と対応させたところ,この系においても,魚類と同様の交差捕食の関係がみられることを実証した.
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