研究課題
コムギは倍数化により進化してきたことを特徴とする。パンコムギは倍数化する際、異種間の異なるゲノムを組み合わせた(異質倍数性:ゲノム式AABBDD)。本研究は、倍数性コムギとその祖先種をモデルシステムとして、遺伝子の構造と環境に応答した遺伝子発現パターンをゲノム生物学的に解析する。また、新たに交雑により、人工倍数種を作成し、倍数化の過程における遺伝子構造と発現調節機構を分子遺伝学的に解析する。これらの解析により、植物ゲノムの倍数化による種形成の分子機構を研究する、ことを目的とする。異質6倍性パンコムギの花器官形成過程にはたらく遺伝子の構造と3種ゲノムの発現調節機構を花器官形成過程に働くD,Eクラスに属す遺伝子に関して3種ゲノムからクローニングし、その発現機構を詳細に解析し、発現システムとしてジェネティックなものとエピジェネティックなものが関与していることを明らかにした。異なる種の交雑の結果、複2倍体のゲノムシャッフリングが新たな種形成に及ぼす影響を考察した。また、核・細胞質雑種コムギにおける花粉から伝達されるミトコンドリアゲノムの発現様式を明らかにし、種形成への関与を指摘した。異種間交雑により、花粉からミトコンドリアゲノムが伝達され、雑種ミトコンドリアゲノムの約30%を占めていた。しかし、これらのゲノム上の遺伝子はほとんど発現されず、花粉のミトコンドリアゲノム特異的にはたらくサイレンシングが示唆された。
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Plant Cell 19
ページ: 1723-1737
http://pgenome.sci.yokohama-cu.ac.jp/