研究課題
生殖的隔離に関わる花粉管ガイダンス因子探索のために、花粉管特異的発現をする受容体カイネースであるLRRIII、RLCKII、RLCK1Xの3グループに属する2重突然変異体の解析を行った。LRRIII1、RLCKIIそれぞれ一組の二重変異体を作成したが野生型と区別出来なかった。RLCKII三組の二重変異体を作成し、2つについてin vitro花粉管発芽率が顕著に低下した。このうちの1組では稔実率も減少しており、花粉管ガイダンスに関わる可能性が示唆されたので、来年度さらに表現型の詳細な解析を進める。花粉管発芽に関わるシロイヌナズナMIKC^*型MADS-box遺伝子の機能解析をすすめる過程で、従来偽遺伝子だと思われていたAGL30遺伝子が転写されていることがわかった。AGL30のmRNA配列を解析し、新たに系統解析を行ったところ、AGL30に近縁なAGL65遺伝子の存在が明らかになった。これらの遺伝子のタグラインが見つからなかったことから、花粉特異的発現をするLAT52プロモーターを用いたRNAiベクターを作製し、5重変異体作出を行っている。種形成に重要な種内生殖器官多型の分子機構を解明するために、閉鎖花形成の分子機構解明を開始した。閉鎖花は自家受粉した種子を形成するために種形成を促進すると考えられる。モデル植物シロイヌナズナに近縁なコカイタネツケバナは花序の最初の3個は開放花、それ以降は閉鎖花を形成する。本年度は閉鎖花形成条件を調べ、来年度以降のマイクロアレイによる遺伝子発現解析の準備を行った。昆虫による花粉媒介は種形成の大きな要因である。花粉媒介に重要な役割を果たす花弁の進化を明らかにするために、ガク片が花弁化するアガパンサスにおいて花弁形成に関わるMADS-box遺伝子の発現様式を調べたところ、これらの遺伝子の異所的発現が原因であることを明らかにできた。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
Plant Mol.Biol. 58
ページ: 45-445