生物時計による性選択の分子機構

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14087206
• 研究機関: 独立行政法人産業技術総合研究所
• 研究代表者: 石田 直理雄 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門・生物時計研究グループ, 研究グループ長 (00344234)
• 研究分担者: 宮崎 歴 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門・生物時計研究グループ, 研究員 (70358125)
• キーワード: ショウジョウバエ / 交尾活動 / サーカディアンリズム / 時計遺伝子 / 行動 / 歩行活動リズム / 進化

研究概要

我々は既にショウジョウバエのD.melanogasterとD.simulans間の交尾活動時間の違いを報告してきた(PNAS, vol.98,9221-9225,2001)。さらにD.ananasaeの交尾活動時間を測定した結果、上記2種と異なる交尾活動リズムを示すことが明らかとなった。そこでD.ananasaeの交尾活動リズムの違いを分子レベルから解明する目的で、D.ananasaeの時計timeless(tim)のクローニングを試みた(GENE,307,183-190,2003)。そこで、本年は種の違う時計遺伝子がどのように交尾活動リズムに影響を与えるかを検証する目的で、歩行活動リズムの失われたD.melanogasterのTim欠失の変異株の中でD.ana由来tim遺伝子を導入し発現を誘導した。その結果、交尾活動リズムはD.melとD.anaの中間型を示した。この事より交尾活動リズムは時計遺伝子ばかりでなく、その下流に存在する遺伝子群が進化に重要な役割をすることが明らかとなった。

研究成果

• [文献書誌] Katsutaka Oishi, Koyomi Miyazaki, Koji Kadota, Reiko Kikuno, Takahiro Nagase, Gen-ichi Atsumi, Naoki Ohkura, Takashi Azama, Miho Mesaki, Shima Yukimasa, Hisato Kobayashi, Chisato Iitaka, Takashi Umehara, Masami Horikoshi, Takashi Kudo, Yoshihisa Shimizu, Masahiko Yano, Morito Monden, Kazuhiko Machida, Juzo Matsuda, Shuichi Horie, Takeshi Todo, Norio Ishida: "Genome-wide Expression Analysis of Mouse Liver Reveals CLOCK-regulated Circadian Output Genes"JBC. 278. 41519-41527 (2003)
• [文献書誌] Katsutaka Oishi, Masayuki Shiota, Katsuhiko Sakamoto, Manami Kasamatsu, Norio Ishida: "Feeding is not a more potent Zeitgeber than the light-dark cycle in Drosophila"Neuroreport. (In press).