研究概要 |
種形成のための生殖前隔離分子機構としてショウジョウバエの交尾リズムの重要性を研究している。これまでの研究結果は、交尾時間を制御する雌特異的分子機構の存在を強く示唆している。既に前年度までの実験結果からアナナスショウジョウバエもキイロショウジョウバエやオナジショウジョウバエと異なるそれぞれの種独自の交尾リズムを示す事を示してきた。さらに、オナジショウジョウバエの時計遺伝子がどの程度キイロショウジョウバエの交尾リズムに影響を与えるかも解明してきた。現在、ロコモーター行動リズムや羽化リズムに関る脳内中枢は既に同定されているが、交尾リズムの中枢については全く未知である。そこで、交尾リズム脳内中枢を同定する目的で欠失変異株(per0)にPER蛋白質を様々な部位で発現しているトランスジェニックフライを用いてその交尾リズムの有無を解析してみた。その結果、交尾リズム中枢は、行動リズムの中枢と別の部位であることを同定した。そこで、RNAi法を用いてこれら複数の領域を絞り込んだところ、DN1,2,3とLNd領域でのperの発現が交尾リズムに必要である事が明らかとなった。昨年度はpdf-GAL80やuAs-RNAiの系を組合せる事により、これら複数の神経核でのper発現をper0バックグラウンドのショウジョウバエの中で正または負に制御する事により、さらに交尾リズム中枢の絞込みを行った。さらに、カタユウレイボヤについて、体内時計が存在するかを生理的、遺伝子の網羅的解析の両面から進行させている。
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