研究課題/領域番号 |
14101001
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 祥好 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 教授 (90127267)
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研究分担者 |
上田 和夫 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 助教授 (80254316)
鏑木 時彦 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 助教授 (30325568)
大串 健吾 京都市立芸術大学, 音楽学部, 名誉教授 (00203745)
佐々木 隆之 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (20158926)
森 周司 首都大学東京, 理学研究科, 助教授 (10239600)
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キーワード | 聴覚の文法 / 音脈 / 時間構造 / 音声知覚 / 音声産出 / 音事象 / 時間知覚 / 音節 |
研究概要 |
昨年度は、音素列の知覚、産出と、音脈の知覚との関連を中心に、時間軸に焦点を当て、聴覚体制化に関する考察を進めた。音節の始まりと終わりとが音声知覚の重要な手掛かりであることを、中国語音節の始まりと終わりとを物理的に異なる音によって呈示し、錯覚的に音節の知覚を生じさせることによって示した。今年度は、この錯覚現象が生ずるうえで、音節の始まりと終わりとが時間的に近接していることが重要であることを示し、300ms程度が最適の時間幅であることを示した。これとは別に,子音を強調することによって音声の明瞭度の増すことは以前から知られているが、子音が音節の始まりと終わりとに位置付けられることに注目し、時間領域のみの処理によって音節の端点を強調するアルゴリズムを開発し、公共空間における放送設備などの耐雑音性を増す方法として提案した。さらに、雑音下の音声知覚を聴覚情景分析の一例として捉えることにより、聴覚体制化に関する考察を進めた。日本語、韓国語、中国語の子音発話に関して、その時間的構造を分析し、音声データベースを構築した。音楽演奏に関しても、時間構造に注目して各種の分析を進めており,聴覚の基本的な仕組みについても、新しい試みを続けている。音系列中の目標音の聴覚探索に関しては、単独の注意フィルターの特性が変化するようなモデルではなく、複数の注意フィルターの特性によって説明するようなモデルが、実験結果をうまく説明しうることが判った。一方、聴覚短期記憶の仕組みについて、音高、音程を操作することによって行った実験のデータの分析を進めている。このように、注意、記憶の仕組みについても、聴覚体制化とどのように関わりあうかを調べている。
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