研究課題/領域番号 |
14101001
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 九州大学 (2004-2006) 九州大学(芸術工学研究院) (2002-2003) |
研究代表者 |
中島 祥好 九州大学, 大学院芸術工学研究院, 教授 (90127267)
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研究分担者 |
上田 和夫 九州大学, 大学院芸術工学研究院, 助教授 (80254316)
鏑木 時彦 九州大学, 大学院芸術工学研究院, 助教授 (30325568)
大串 健吾 京都市立芸術大学, 音楽学部, 名誉教授 (00203745)
佐々木 隆之 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (20158926)
森 周司 九州大学, 大学院システム情報科学研究院, 教授 (10239600)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2006
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キーワード | 聴覚の文法 / 分離音現象 / 音声知覚 / 時間知覚 / 聴覚体制化 / 音楽知覚 / 調音観測 / 音声強調 |
研究概要 |
言語コミュニケーションは、ヒトの聴覚システムに基盤を有している。したがって、言語において諸要素がどのように結びつくかを、聴覚体制化の原理と関連付けて論ずることが、言語、聴覚のいずれについても重要である。ところが、そのような観点から聴覚実験が体系的に行われたことは殆どなかった。本研究計画においては、空隙転移錯覚、分離音現象などの、新しい聴覚現象を手がかりにし、言語音、非言語音の双方を用いて、デモンストレーションの作成、知覚実験を行った。さらに、音声産出あるいはリズム演奏における時間制御、音系列に対する聴覚的注意に関する実験を行った。また、発表するには至らなかったが、世界の言語における音節構造と統語構造との関係を分析した。以上の成果を総合して、聴覚体制化における「音事象」と音声における「音節」とのあいだに対応関係が認められることを示した。音事象、および音事象と空白部との時間的な連なりである「音脈」の知覚に際して、音節の端点に対応する「音の始まり」、「音の終わり」が半ば独立な知覚要素としてふるまい、これに「継続部」、「空白部」を加えた4種類の知覚要素が、簡単な文法規則と、ゲシタルト原理の一つである「近接の原理」とに従って時間方向に結合する、という当初の仮説が裏付けられた。また、中国語(北京官話)の合成音声を用いて、物理的には異なる音に属する「音の始まり」と「音の終わり」とが知覚のうえで結びつくという錯覚によって中国語音節が生ずることを確認し、非言語音に関する知見が言語音にまで拡張されうることを示した。現在では、時間上の境界が常に明確であるとは限らない音声信号を受けとった聴覚システムが、瞬時に不連続的な知覚内容である音節を構成することについて、一種の計算理論を構築し、知覚要素が時間軸に沿って並び、階層化された知覚内容を生ずることの仕組みを研究している。
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