先史アンデス社会における文明の形成プロセスの解明

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14101003
• 研究機関: 埼玉大学
• 研究代表者: 加藤 泰建 埼玉大学, 教養学部, 教授 (00012518)
• 研究分担者: 坂井 正人 山形大学, 人文学部, 助教授 (50292397) ; 関 雄二 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 助教授 (50163093) ; 井口 欣也 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (90283027)
• キーワード: 国際研究者交流 / ペルー / アンデス先史 / クントゥル・ワシ遺跡 / ラス・ワカス遺跡 / リモンカルロ遺跡 / カハマルカ / データベース

研究概要

1.クントゥル・ワシ神殿遺跡データベースの作成を進め、発掘調査のもっとも基本的な記録となる発掘日誌、土器台帳、遺物台帳、写真資料を電子ファイル化した。
2.クントゥル・ワシ遺跡周辺の補充調査として19遺跡を踏査、そのうち8遺跡が関連遺跡であることを確認した。
また現地クントゥル・ワシ遺跡博物館に保管してある出土遺物のうち、土器資料、石製品資料、および獣骨資料について整理・分析を行った。
3.山地カハマルカ盆地の総合調査を実施、盆地の東部、東南部、南部を対象として121遺跡を踏査して盆地全域の遺跡分布パターンに関する基礎データの収集を完了した(踏査遺跡の総計は247進跡)。また、古気候復元を行なうため2カ所で花粉分析用のボーリング調査を行い、良好なサンプルを得た。
4.ヘケテペケ川中流域ラス・ワカス神殿遺跡の発掘調査を行い、二つの建築フェイズを確認、幾つかの基壇・広場が改修・拡張されて一つの大きな神殿複合になっていくプロセスをあきらかにした。この時期がクントゥル・ワシ神殿遺跡では最下層のイドロ期にあたることもわかった。
5.海岸地域リモンカルロ神殿遺跡の発掘調査を行い、中央に広場、その周囲に三基壇が配置されるU字型構造であることを確認した。また、この神殿は少なくとも三回にわたり大規模に改築されていたことがわかった。リモンカルロ神殿で活発な神殿建設が行われた時期は、ラス・ワカス神殿の第二フェイズに対応するが、出土遺物からは直接の相互関係は認められなかった。
6.国際ラテンアメリカ・カリブ研究連盟第11回大会においてシンポジウム「クントゥル・ワシ:ペルー北部山地形成期における社会発展」を組織し、ペルーの研究者も招聘して、研究成果の発表と意見交換を行なった。

研究成果

• [文献書誌] 加藤 泰建: "先史アンデス社会における文明の形成プロセスの解明-2003年度調査研究報告-"『プロジェクト研究成果報告書』埼玉大学21世紀総合研究機構. 2. (2004)
• [文献書誌] 関 雄二: "古代アンデスにおける国家の起源"初期王権研究委員会編(角川書店)『古代王権の誕生 東南アジア・南アジア・アメリカ大陸編』. 211-231 (2003)
• [文献書誌] 関 雄二, 米田 穣: "ペルー北高地の形成期における食性の復元-炭素・窒素同位体分析による考察-"国立民族学博物館研究報告. 28・4. 515-536 (2004)
• [文献書誌] Tsurumi Eisei, Regina Abraham Fernandez, Yasutake Kato: "Proyecto Arqueologico : Las Huacas, Valle Medio de Jequtepeque, Provincial de Contumaza, Depto.de Cajamarca"Instituto National de Cultura, Peru. 88 (2003)
• [文献書誌] Seki Yuji, Clorinda Tejada: "Informe Preliminar del Proyecto de Investigaciones Arqueologicas en el Valle de Cajamarca, Peru (Temporada 2003)"Instituto National de Cultura, Peru. 84 (2003)
• [文献書誌] Sakai Masato, Juan Jose Martinez Fiestas: "Informe Preliminar de la Investigacion Arqueologica en el Templete de Limoncarro durante e1 Ano 2003"Instituto National de Cultura, Peru. 42 (2003)