研究課題
基盤研究(S)
1.発掘データの分析と年代測定結果から、以下のようなクントゥル・ワシおよび関連地域の形成期編年を確立した。中期IIイドロ期(950-800BC.)、後期Iクントゥル・ワシ期(800-550BC.)、後期IIコパ期(550-250BC.)、末期ソテーラ期(250-50BC.)。2.クントゥル・ワシ神殿の発掘調査で作成した遺構図を整理して4時期9フェイズにまとめ、3次元復元図3Dモデルを作成、神殿建築変遷の様相をあきらかにした。3.クントゥル・ワシ神殿遺跡出土資料の整理・再検討を行った。(1)土器資料を全61タイプに分類、記述と写真・実測図からなる土器集成を完成させた。(2)石製品、骨・貝製品などの写真撮影、計測、原材料同定、タイプ分類を行い詳細な工芸品遺物リストを完成させた。(3)獣骨資料の動物考古学的分析を行い、形成期後期における家畜動物(ラクダ科)の導入や動物資源利用の実態をあきらかにした。4.クントゥル・ワシ神殿遺跡調査の全資料を電子ファイル化し体系的な整理を行って個別データの相互検索が可能な遺跡データベースを完成させた。また収納データの種類、内容の一覧、サンプルページ、公開可能な分析結果などを収めた開示版を作成した。5.関連する地域(ヘケテペケ流域地方、カハマルカ盆地、パコパンパ地域)で考古学調査を実施し、それぞれの地域における社会発展プロセスと相互関係を捉え、広域型神殿クントゥル・ワシが文明形成に果たした役割をあきらかにした。6.アンデスでは形成期に神殿を核とする社会統合がみられ、神殿が文明形成の起動力となっていた。本研究ではその到達点である広域型神殿クントゥル・ワシの実態を明らかにした。この広域型神殿は地域間の相互交流を促し、社会の流動性を高めたが、広い領域を統合する大規模社会は生み出さなかった。このような神殿社会はやがて崩壊するが、最初の国家社会出現までには数百年の断絶がある。神殿を中心としたアンデス独特の文明展開は国家社会の成立には直結しなかったのである。
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