研究課題/領域番号 |
14101004
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研究機関 | (財)中近東文化センター |
研究代表者 |
大村 幸弘 財団法人中近東文化センター, 学術局, 主任研究員 (10260142)
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研究分担者 |
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 教授 (90155648)
吉田 大輔 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (20280670)
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キーワード | トルコ共和国 / カマン・カレホユック / 中央アナトリア / ヒッタイト古王国 / 手づくね製土器 / 轆轤製土器 / 文化編年 / 円形遺構 |
研究概要 |
(財)中近東文化センターは、トルコ共和国のほぼ中央部に位置するカマン・カレホユック遺跡で、1985年、考古学的予備調査、1986年、考古学的発掘調査を開始し、現在にいたっている。発掘調査目的は、カマン・カレホユックで文化編年の再構築であり、これまでの調査では、4層-第I層、オスマン・トルコ時代、第II層、鉄器時代、第III層、中期・後期青銅器時代、第IV層、前期青銅器時代-を確認した。 これらの文化層の中でも、今シーズンは、第IIIc層のヒッタイト古王国時代の円形遺構2(径約13m、深さ4m)、第IVa層の中間期に重点を置き調査を行った。前者の円形遺構2は、セクションベルトを残してほぼ完掘、床面直上からは遺構の機能を解明する上で手がかりとなりうる大量の小麦を検出した。また、第IVa層の火災を受けた建築遺構内から、手づくね製土器と轆轤製土器を確認した。 アナトリアでは最大級の円形遺構が出土したことなどから、第IIIb層のヒッタイト古王国時代のカマン・カレホユックは、中央アナトリアでもかなり重要な地方都市の一つである可能性も出てきている。また、第IVa層出土の轆轤製の土器は、第IIIc層のアッシリア植民地時代の土器を想起させる形態を有したものが多々見られる。これは前3千年紀末、中央アナトリアがメソポタミア世界の文化圏に組み入れられたことを裏付けるものとして考えられる。 今回の発掘調査を通して、アナトリア考古学では未解明とされてきた前2千年紀のヒッタイト古王国時代の版図、アナトリアがメソポタミアの文化層に組み入れられた時期などを解明する手がかりが見えてきており、今後カマン・カレホユックの文化編年は、アナトリア考古学研究に多くの貴重な資料を提供するものと考えられる。
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