研究課題/領域番号 |
14101004
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | (財)中近東文化センター |
研究代表者 |
大村 幸弘 財団法人中近東文化センター, 学術局, 主任研究員 (10260142)
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研究分担者 |
吉田 大輔 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (20280670)
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 教授 (90155648)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2006
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キーワード | アナトリア / カマン・カレホユック / 文化編年 / 再構築 / 暗黒時代 / 鉄器時代 / ヒッタイト帝国 / アッシリア植民地時代 |
研究概要 |
アナトリアの「文化編年」は、欧米の研究者によって19世紀から20世紀半ばにかけて構築されてきたものの、1970年代後半、その「文化編年」に幾つもの歪みがあることが指摘されていた。(財)中近東文化センターでは、1985年トルコ共和国のほぼ中央部に位置するカマン・カレホユック遺跡で予備調査を行い、1986年から本格的発掘調査に入り現在に至っている。これまでの発掘調査では、4文化層-第I層、オスマン時代、第II層、鉄器時代、第III層、中期・後期青銅器時代、第IV層、前期青銅器時代を確認している。本研究では、アナトリア考古学の中て未解明とされる次の5テーマを抽出、新たなる「文化編年」を再構築することにより、それらの解明にあたることを主目的とした。1)「暗黒時代」(前12世紀〜前8世紀半ば)の有無。2)「鉄器時代」の開始時期。3)「ヒッタイト帝国崩壊」の背景。4)「アッシリア植民地時代」の終焉。5)「印欧語族」への移動時期。 これら5つの問題点を明確にするため、出土遺物、建築遺構等を精査した結果、 1)前3千年紀末に印欧語族が中央アナトリアに侵攻、土着のアナトリア文化と融合し、2)その文化の渦中にメソポタミアの化が入り込み、アナトリア土着、印欧語族、メソポタミア3文化がさらに融合、3)そしてその融合した文化を背景にヒッタイト帝国が形成される、4)ヒッタイト帝国が東地中海世界の一翼を担う背景には、これらの融合した文化と、特に冶金技術の改良などがあったこと、などが明確になった。 本研究から言えることは、アナトリアは常に周辺地域からの文化的影響を強く受容しながら前2千年紀に新たなる文化を築き、それらの融合した文化か、前2千年紀において周辺地域に影響を与えることもなく、アナトリア独自の文化圏として存在していたということであろう。
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