研究課題
基盤研究(S)
本研究は、局所群の3銀河(銀河系、大小マゼラン雲)の分子雲と星形成を包括的に研究し、銀河進化における星形成を、スーパーシェルの役割を軸に解明することをめざしたものである。本研究の結果、大マゼラン雲における巨大分子雲星形成の全体像が、大質量星形成について完全に解明され、分子雲進化の時間尺度等が確立され、スーパーシェルの影響は全体として主要ではないことが結論された。本研究によってまず、銀河系と小マゼランに比べ、大マゼラン雲に集中して解析することが有効であることが明らかになった。これは、大マゼラン雲のみが銀河全面について200個近い星形成領域を含み、均一な観測データが活用できるためである。本研究によって、銀河系は銀河面内の多天体の重なりによって多くの星形成のサシプルが得にくく(最大30領域程度)、小マゼラン雲もサンプル数が十分多くない(最大20領域程度)ことが示された。大マゼラン雲での大質量星形成の指標として、従来光学的な星団と星雲が使用されたが、最近の電波連続波観測の前進によって、減光を受けない電波星雲も確実に特定できることが分かり、新たな比較解析を行って、確実な星形成分子雲の特定を実施できた。この結果、160余個の巨大分子雲を星なし、星有り、さらに活発な星形成有り、の3クラスの分類できることを示し、それらの進化的つながりと進化的年齢を推定した。以上の成果は、銀河全体にわたる星形成について進化的猫像が初めて明確にしたものであり、2005年10月国際会議の招待講演などで世界的評価を受けている。
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