研究概要 |
新規に導入したチャンバー法による観測によって以下の結果が得られた。土壌呼吸は地温の上昇に伴い増加し、低下に伴い減少するという季節変化を示した。森林(F:20〜150 mg C m^<-2> hr^<-1>)、沼地(P-2:22〜79mg C m^<-2> hr^<-1>)に比べて草地(31〜356 mg C m^<-2> hr^<-1>)で大きなCO_2放出が見られた。測定開始時に湛水していたG-3(湿潤草地)は湛水消滅後に放出が大きく増加し(最大356mg C m^<-2> hr^<-1>)、測定終了時まで他の地点よりも大きな放出を維持していた。メタンガスの放出では森林では測定期間を通じてわずかなCH_4吸収(-12〜0 ug C m^<-2> hr^<-1>)が観測されたが、明確な季節変化は見られなかった。乾燥草地(G-1,2)ではわずかな吸収もしくは放出(-9〜5 ug C m^<-2> hr^<-1>)であった。湿潤草地(G-3,P-1)および沼地では森林・乾燥草地に比べ非常に大きなCH_4放出が測定された。常時湛水していた沼地地点(P-2)からの放出は7月上旬に最大を示したのち、徐々に低下した(3332〜23698 ug C m^<-2> hr^<-1>)。湿潤草地からの放出は水分状態の変化に伴い、大きく変化した。P-1における土壌水分、CH_4(植生有り・無し),N_2Oフラックスの季節変化をFig.7に示す。P-1では湛水期間中(6月中)に大きな放出(39271〜40610 ug C m^<-2> h^<-1>)が見られた。植生を含まない非透明チャンバーは拡散及び気泡上昇による放出を測定し、植生を含む透明アクリルチャンバーはそれらに加え植物体を通しての放出も測定していると考えられるので、その差し引きから植物体経由のCH_4フラックスが全体に占める割合を求めた。その結果、湛水期間中には植生経由の放出が大きな割合(52〜78%)を占めると見られた。湛水消滅後はCH_4放出が大きく低下した。
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