研究概要 |
本研究では、ダイヤモンドアンビル高圧装置とマルチアンビル高圧装置を用いた実験によって、核および核マントル境界での相転移と反応、核の形成期の反応を明らかにした。当該年度行われた実験結果は以下のようにまとめることができる。 1.金属鉄と水(H_2O)の反応を84GPaまで明らかにした。その結果、10GPaを超える高圧下、で1000K以上の高温で、金属鉄と水が反応し、鉄水素化物と酸化鉄が生成することが実験的に明らかになった。この反応は、地球の集積時の初期地球内部で生じていた可能性がある。この反応によって、コアの軽元素として水素が鉄に溶解することが明らかになった。現在の下部マントルの条件でも、このような鉄水反応が起りうることが明らかになった。 2.マルチアンビル,およびダイヤモンドアンビルによる実験においては、圧力約30GPaから135GPaにわたる圧力のもとで約3000℃までの条件でMgSiO3ペロブスカイトと金属鉄,ポストペロブスカイト相と金属鉄のとの反応を明らかにした。そして、この反応によってマグネシオブスタイトが生じ金属鉄メルト中にSiとOが溶解する反応を確認した。この反応は大きな圧力・温度依存性があり、酸素分圧一定のもとで高温において多くのSiとOを溶解する。また、圧力の増加ととともにSiとOの溶解量も増加することが明らかになった。この結果から、断熱的な温度プロファイルに従う核の分離に伴って、鉄中へのSiとOの溶解が進むことが明らかになった。 3.核マントル境界の条件(135GPa,3500K)を実現し,K-ケイ酸塩(アドラリア)と共存する金属鉄に固溶するカリウムの量を測定した.核マントル境界条件では,0.8wt.%のカリウムが溶融鉄中に溶け込むことが明らかになった.このことは,カリウムが核内部の熱源の一部になっていることを示すものである.
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