研究課題/領域番号 |
14102012
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒井 広文 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (20322034)
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研究分担者 |
峰本 紳一郎 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (90323493)
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キーワード | 非同軸光パラメトリック増幅 / キャリアエンベロープ位相(CEP) / 可視-近赤外領域 / 配列または配向した分子 / 高次高調波発生 / コヒーレント真空紫外光 / アト秒パルスの発生と計測 / 偏光ゲート法 |
研究概要 |
平成18年度は真空紫外の研究課題に取り組んだ。主要な研究成果は以下のとおりである。 (1)配列した分子試料に高強度フェムト秒レーザー光を集光して高次高調波を発生する際、高調波発生効率の基本波の楕円率依存性が、分子軸と楕円偏光の長軸の向きの配置により異なることを前年度本研究で初めて明らかにした。具体的には、分子軸と楕円偏光の長軸が平行な時の方が、垂直な時よりも楕円率依存性が急峻である。このことは、分子軌道が分子軸方向により広がっていることと高調波発生の3ステップモデルの帰結として直感的に理解できる。配列した分子に偏光ゲート法を適用した場合にも、上記の楕円率依存性からの自然な推論として、分子軸と楕円偏光の長軸が平行な時の方が高調波の発生が可能な時間幅がより制限され、高調波スペクトルを観測した場合、より広いスペクトル幅を示すと予想したが、実験結果はむしろ逆の傾向を示すことを初めて発見した。その物理的理由を解明するために、モデル計算を行った。試料として用いたN_2分子のHOMOを1中心原子型軌道の重ね合わせで近似し、Lewensteinモデルを適用して数値計算を行うことにより、実験結果を定性的に再現することに成功した。考察により、観測された結果が、基本波強度の変化とともに楕円率が急峻に変化するパルスに特有の効果であることが分かった。したがって、数サイクルパルスの偏光ゲートによりアト秒パルスを発生する場合にも、搬送波包絡位相(CEP)だけでなく、分子の空間配列を重要な制御パラメータにできることを初めて明らかにした。 (2)配向した分子中からの高次高調波発生は、アト秒パルス発生のみならず、高調波発生の物理に関する重要課題の一つである。配向した分子を試料とすることができれば、偶数次の高調波発生を始めとする配向した分子中からの高調波発生の物理の開拓に加え、アト秒パルス発生の際にも、分子の空間配列に加えて空間配向も全く新しい制御パラメータとして加えることができる。一方、配向した分子中からの高調波スペクトルを評価することにより、数サイクルパルスのCEPの評価に加えて電場の向きまで初めて決定できると期待される。本年度、静電場と立ち上がりが遅く(分子の回転周期の10倍程度以上)、プラズマシャッターと呼ばれる手法を用いてピーク強度付近で急峻にスイッチオフするように整形されたレーザー電場を併用する手法が高強度レーザー電場の存在しない条件下で分子配向を実現する極めて有効な手法であることを数値計算により初めて明らかにした。現在、本手法の検証実験が進行中である。
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