研究概要 |
平成17年度においては,前年度までに構築した加工システムの各要素を用いて実際に微細加工実験を行うことによって,加工中の特性評価を詳細に行った.また研究の最終年度である平成18年度に向けて,高剛性フレームの設計製作を行った.その結果,以下の成果が得られた. (1)前年度構築したXY超精密・高速位置決めテーブルシステムを用いて,ダイヤモンド切削工具による微細加工実験を行い,加工中の位置決め特性について検討した.その結果,切削力外乱が作用する状況下においても加工中の追従誤差を数十nm以下で位置決め可能であることを明らかにした.さらに位置決めコントローラに外乱オブザーバを用いた切削力補償機構を組み込むことによって,加工時の追従誤差を半分以下に抑制可能であり,加工中でもナノメートルオーダの位置決めが可能であることを確認した. (2)本テーブルシステムを用いて無酸素銅の平面加工を行った結果,表面粗さRa3.2nmを実現可能であることを確認した.さらに,硬ぜい材料であるタングステンカーバイドの微細加工実験を行った結果,流れ形の切りくずが得られたことから,テーブルが加工機要素として十分な剛性を有していることを確認した. (3)前年度構築した高速・超精密スピンドルシステムの更なる高速回転の実現を目的としてエアタービン形状の改良を行った結果,従来比37%増である最高回転数50000rpm(DN値150万)を達成した.さらに位置決めテーブルと組み合わせて微細フライス加工実験を行った結果,加工中の回転精度は非加工時とほぼ同じでありナノメートルオーダの回転精度を実現可能であることを確認した. (4)次年度に鉛直方向位置決めテーブルシステムを実現するため,アルミナセラミックス製の高剛性フレームの設計および製作を行った.
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