研究課題/領域番号 |
14102016
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小森 悟 京都大学, 工学研究科, 教授 (60127082)
|
研究分担者 |
三角 隆太 横浜国立大学, 工学研究院, 助手 (40334635)
伊藤 靖仁 京都大学, 工学研究科, 助手 (40346078)
長田 孝二 京都大学, 工学研究科, 講師 (50274501)
鈴木 靖 日本気象協会, 調査部・数理応用科, 課長
松本 充弘 京都大学, 工学研究科, 助教授 (10229578)
|
キーワード | 風波乱流 / 気液界面 / 物質移動 / 表面更新渦 / 大気海洋相互作用 / 温暖化予測 |
研究概要 |
本研究の目的は、剪断力の働く風波気液界面を通しての物質と熱の輸送機構を海洋のシミュレーション装置である風波水槽を用いた室内実験により流体工学的に解明し、大気・海洋間の海水表面を通しての物質および熱の交換速度の正確な評価を可能にする物理モデルを構築することにある。本プロジェクトの2年目に当たる本年度は、大気・海洋間での物質の交換に及ぼすうねりの影響および降雨の効果について室内実験および直接数値計算(DNS)と呼ぶ数値シミュレーション手法を併用して明らかにした。その結果、得られた成果は次の通りである。 1.風波の進行方向と同じ方向にうねりを発生させ、炭酸ガスの放散量を測定した結果、同じ風速の場合、うねりが存在すると物質交換速度が減少する。この理由は、うねりが存在する場合、うねりの後方にできる剥離の影響のため風波気液界面に働く剪断力が減少し、物質移動を支配する液側の表面更新渦の発生周波数が減少するためである。しかし、このうねりの影響は風速にして12m/s以下の領域にのみ表れ、それよりも大きな風速領域に相当する風波の崩壊現象を伴う場合には、うねりの影響はかき消されてしまう。 2.降雨が気液界面に衝突する場合、気液界面下の乱流混合は著しく促進される。この乱流混合により気液界面を通しての物質輸送も促進される。500mm/hr程度までの降雨により促進される物質移動速度は、風速14m/sを有する風波乱流の場合の物質移動速度に匹敵する。 これらの結果より、従来の大気・海洋間での物質輸送モデルでは全く考慮されていないうねりおよび降雨の影響を大気・海洋間での物質輸送モデルの中に組み込むことが信頼性の高いモデルを構築するうえで極めて重要であることが明らかになった。
|