研究分担者 |
黒瀬 良一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70371622)
松本 充弘 京都大学, 工学研究科, 助教授 (10229578)
長田 孝二 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (50274501)
伊藤 靖仁 京都大学, 工学研究科, 助手 (40346078)
鈴木 直弥 京都大学, 工学研究科, 研究員 (40422985)
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研究概要 |
本研究は,大気・海洋間でのスカラー輸送機構を海洋のシミュレーション装置である風波水槽や開水路実験装置を用いた室内実験と数値シミュレーションの併用により流体工学的に解明することを目的としている. 本年度は,大型風波水槽にうねり発生装置を取り付け,同方向に進行するうねりと風波が共存する場における乱流構造および気液界面を通しての物質輸送量を評価した.実験の結果,小型風波水槽の場合と同様にうねりが風波乱流場での物質移動を抑制すること,うねりによる物質移動の抑制効果は風波とうねりのスケールの比に大きく影響されることが明らかになった.また,風波乱流場に対して直接数値シミュレーション(DNS)を適用した.本計算では気相と液相の両相を解き,気液接触界面に対しては高さ関数法を適用することにより,実際に水槽実験装置内で観察される形状に近い移動変形する風波気液界面を再現することができた.風速5m/s程度では,液側界面近傍に主流方向に軸を持つ縦渦が発生することが明らかになった.さらに,昨年度までの室内実験から得られた降雨強度と物質移動係数の関係式と降雨量などの全球気象データベースを用いて,降雨に起因する大気・海洋間でのCO2交換量の評価を行った.その結果,大気・海洋間でのCO2交換に及ぼす降雨の影響は,風の影響に比べて,海洋全体または長期的には無視できるほど小さいが,局所的かつ短期的には同程度である場合があることが明らかとなった.したがって,気候変動の予測シミュレーションにおいて,大気・海洋間におけるスカラー交換をモデル化する際には,降雨の影響を考慮する必要があることがわかった.
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