研究概要 |
本研究は既知の2次元周期関数に従って角度が変化する目盛り(2次元角度格子)と光学式の2次元角度センサを用い,角度出力から角度格子とセンサの面内の相対並進変位(XY変位)と回転変位(ヨー)及び面外の回転姿勢変化(ロール,ピッチ)を分離検出できるサーフェスエンコーダを各種3軸精密ステージに組み込むことでステージの高精度化を図り,その有効性を実証するものである.今年度は以下の成果を得た. (1)グリッドパターンによるマルチスポットビーム生成のシミュレータを開発し,計測に適したビームを作るためのグリッドパターン設計条件を調べることを可能とした. (2)高分解能化と検出範囲拡大のため,角度格子の短ピッチ化と大口径化をすすめ,ピッチ100μm,直径150mmの角度格子を製作し,サーフェスモータに搭載した.さらに格子ピッチ50μmのものまで試作した. (3)2次元FFTを用いた誤差評価手法をベースに,超精密旋盤と高速工具サーボの制御を最適化した.工具先端半径誤差を補正すること,外周部の制御点間隔の粗さから来る誤差を周速制御等により補正すること,さらに白色干渉顕微鏡とAFMを用いる手法でワーク中心と工具中心の心出しを正確に行い心出し誤差補正すること等の手法を開発し,角度格子形状を高精度化した. (4)サーフェスモータに角度センサを2本使用するタイプのサーフェスエンコーダを搭載し,その出力からXY面内の並進運動では200nm,θzの回転運動では2.5秒の分解能で制御できることを示した. (5)平面モータの移動案内面に角度格子を転写したフィルムを貼り付けることで,エンコーダの問題から難しいとされていた大移動量平面モータのクローズドループ制御を行う手法を提案した.その基礎実験としてフィルム面にパターンを転写し,転写後のフィルムからサーフェスエンコーダの出力が得られることを確認した.
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