研究概要 |
本研究では,実環境に高速かつ柔軟に対応する認識・行動システムの構築を目的とし,具体的な基盤技術として,階層並列構造による感覚運動統合,認識と行動の超高速性,分散ネットワーク構造の各要素に注目して,分散ネットワーク構造に基づいた多数のセンサとアクチュエータを結合した高速リアルタイム処理システムを構築した. 1.TCP/IP通信機能を有する高速ビジョンネットワークシステムの構築 高速で移動する複数の対象を,広い範囲で観測し,かつ,オクルージョンによる死角などが生じないように観測することをめざして,複数のビジョンシステムによる分散協調ネットワークシステムを構築した. 2.分散センサネットワーク情報処理アルゴリズムの開発 カルマンフィルタを利用したセンサフュージョン手法であるDTKF(Delay-Tolerant Kalman Filter)を提案した.DTKFは,センサ数の増大に対して優れたスケーラビリティを有しており,その有効性を,高速視覚センサによる対象追跡タスクの数値実験により検証した. 3.多眼高速ビジュアルフィードバックシステムの構築 複数の高速ビジョンを用いた多眼高速ビジュアルフィードバックシステムを構築し,各ビジョン情報の相互補完による,オクルージョンにロバストな複数対象の3次元トラッキングを実現した.多数のビジョンを用いることで計測範囲,精度の向上,オクルージョン回避などが実現できた. 4.階層並列構造による感覚運動統合の実現 分散ネットワーク構造に対応して,多数のセンサシステムと多数のロボットシステムを実時間で接続するために,複数のリアルタイム処理システムとロボットシステム,センサシステムを統合した並列分散処理システムを開発した.システム構成としては,CANbusによって接続されたdSPACE社の実時間処理システムを3台用意し,IOを通してロボットアーム2台,ロボットハンド3台,高速ビジョン3台(カメラヘッドは6台),その他,触覚や力覚などの多数のセンサを接続したものである.
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