研究概要 |
本年度の研究実績の概要を以下に示す。 ・Y系導体の交流損失低減の導体構造(本年度特許出願)の実効性を検証するための基礎として,YBCO層の分割数と磁化損失との関係を調べた。分割数を多くするほど磁化損失が減少することを確認した。 ・集合導体中の線材を電気的に測定する方法の妥当性は解析的に示されていたが,今回,Bi系線材について熱量法との同時測定を行った結果,電気的方法と熱量法との結果がよく一致し,電気的測定法の妥当性を確認した。これに基づき現在Y系導体についてデータを収集する準備を行っている。 ・Bi系線材に関し,垂直抵抗の大きいマルチフィラメント線材を入手し,実験を開始した。 ・Bi系線材集合導体について損失の実測を行い,解析結果と良い一致をみた。また,Y系線材に関し,通電損失について解析結果は実際の損失特性とよく合うことがわかった。これに基づき,通電損失特性と磁化損失特性を関係付けるための研究を開始した。 ・従来我々が提案していた交流損失の電気的測定法に関して熱量法との同時測定によりその妥当性を示した。これは世界的に見ても初めての成果である。 ・YBCO線材についてクエンチの原因が過電流通電の場合について,クエンチによる損傷を受けない条件を求め,それに伴う交流損失の影響を評価した。 ・ビスマス多芯テープ線材の全交流損失を,ツイストピッチ,垂直抵抗率,外部横磁界角度を変えて数値解析した。磁界角度によってツイスト・高垂直抵抗化の損失低減効果は大きくかわることを定量的に明らかにした。 ・交流磁界下で交流電流を輸送するビスマス多芯テープ線材の全交流損失を測定し、解析値及び計算機シミュレーションで得た数値計算値と実測値を比較検討した。解析値に比べ数値計算値は実測値に比較的近い値を取ることがわった。また,数値計算値と実測値がよく一致する条件と,やや離れる条件が明らかになり,今後,数値モデルを改良するための情報が得られた。
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