研究概要 |
本研究では,マイクロアクチュエータによる可変機能を組み込んだフォトニックデバイスを実現することを目標としている.具体的には,フォトニック結晶にマイクロアクチュエータを組み込んだ光スイッチやフィルタを研究する.フォトニック結晶として,スラブ型2次元フォトニック結晶を直列に3連に配置した機械式スイッチ構造を提案した.スラブ型フォトニック結晶の中央部に1から3列の格子欠陥導波路を導入した光導波路構造を提案した.中央のフォトニック結晶スラブ(可動PCスラブ)を移動させることにより,両側の固定フォトニック結晶スラブ(固定PCスラブ)間の光の導波を接続・切断できる.可動PCスラブの方式として,下方に移動する方式と,横方向に面内で平行移動する方式の2つについて理論的設計と試作を行った.下方移動には平行平板のマイクロアクチュエータを組み込んだ.光透過特性(スイッチ特性)を光通信帯域である1.5μm波長において測定した.可動PCスラブの下方への移動により,導波が遮断(23dB)されることを理論的に示した.可動PCスラブをさらに下方に移動させると,固定PCスラブ間の空隙を通って光が伝搬するため遮断特性が劣化することが示された.電子線描画によりいくつかのパラメータを変えたフォトニック結晶スイッチを製作した.それらを用いて光学測定を行った結果,透過光を変調できることを示した.これらの結果は理論計算によりよく説明できた.また,平行移動する可動PCスラブにおいてはアクチュエータとして,くし型アクチュエータを設計し,スイッチを試作した.スイッチ動作の基本特性を確認できた.
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