研究課題/領域番号 |
14102029
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 雅彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30029160)
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研究分担者 |
中谷 亮一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60314374)
遠藤 恭 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50335379)
白土 優 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (70379121)
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キーワード | 情報記憶デバイス / 磁性メモリ / 磁化過程 / 磁化状態 / 反強磁性層 / 交換相互作用 / 静磁エネルギー / 磁気抵抗効果 |
研究概要 |
新世代の情報記憶メモリであるMRAM (Magnetic Random Access Memory)の記憶容量を飛躍的に大きくするための基礎技術を確立することを目的として、サブミクロンオーダー以下の大きさの閉磁路構造を有する磁性メモリセルの磁化過程および磁化状態について検討を行った。 (1)リング構造を有するメモリセルに対する再生方法についての要素技術の検討を進めた。昨年度までに、円形のリング状のメモリセルの一部を削り取った構造とすることにより、面内磁界によりメモリセルに記録を行うことが可能であることを見出している。再生には、記録を行うセルと同じ平面構造の磁化の固定された層(磁化固定層)が必要である。そこで、本年度は、外径940nm、内径450nm程度のNi-Fe(15nm)/Mn-Ir(10nm)積層リングセルの磁化過程を詳細に検討した。磁気光学効果測定および磁気力顕微鏡による観察により、どの向きに磁界を印加しても、常に同じ磁化状態に戻る磁化固定層を形成できることを明らかにした。 (2)磁化過程を計算するシミュレータを用いた検討により、磁化固定層の磁化過程において、静磁エネルギー、ゼーマンエネルギー、磁性層と反強磁性層との交換エネルギーと比較して、磁性層内の交換エネルギーは2桁程度低く、その寄与は無視できることを明らかにした。また、零磁界近傍では、ゼーマンエネルギーの寄与も無視できるようになるため、静磁エネルギー、および、磁性層と反強磁性層との交換エネルギーにより、磁化状態が決定されることがわかった。 (3)磁化過程におけるボルテクス磁化構造の核の移動、磁壁の移動を高い分解能で検出する手法を開発中である。磁気力顕微鏡のプローブを任意の位置に固定し、ボルテックスの核、あるいは、磁壁が通過した時の微弱な磁束を検出することにより、それらの移動機構を明らかすることができるものと考えられる。
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