研究課題/領域番号 |
14102031
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
甲斐 雅亮 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00160953)
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研究分担者 |
太田 和子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (20039647)
椛島 力 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (20274673)
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キーワード | 発光試薬 / 超高感度検出 / 核酸 / DNA解析 / 技術開発 / 化学発光 / 高分子化合物 / プローブ |
研究概要 |
本研究の達成目標は、検体である核酸をポリメラーゼチェイン反応などによってコピー増幅することなく、さらに、現在の機器を改良することもなく核酸の検出感度を飛躍的に高めるために、化学発光検出用の高分子プローブを創製し、それらを用いて、細胞内のゲノムDNAの異常配列又はmRNAの発現量の検査可能なDNA解析手法及び特定遺伝子の顕微検出法を開発することである。 本年度の研究では、細胞寿命をコントロールするテロメア遺伝子[(TTAGGG)n]の分子数レベルの検出を可能にするために、まず、代表研究者らが開発した核酸の新しい発光試薬TMPGによる化学発光検出手法を適用した。すなわち、TMPG試薬はグアニン塩基を特異的に発光性に導くので、グアニン塩基を含まないテロメア遺伝子のcDNA[(CCCTAA)n]を膜に固定させ、テロメアDNAとハイブリダイズさせれば、テロメアDNAを特異的に検出できる。この方法では、検体核酸を分離せずに直接テロメア遺伝子を検出することが可能で、細胞分裂によって短縮するテロメアDNAの長さに比例した発光シグナルが得られることも期待できる。しかしながら、検討したTMPGの最適反応条件を用いてテロメアDNAの検出を行った結果、10^<-12>モルの合成テロメアDNAを特異的に検出できたが、これは、既報の化学発光性酵素プローブの約千分の一の感度でしかなかった。そこで、TMPG試薬によるハイブリダイゼーションアッセイ系の感度を増大させるために、ビオチン化長鎖DNAの合成法を開発し、それとアビジンの結合によるシグナル増幅について検討した。その結果、ターゲットDNAにグアニン塩基を多量に含む長鎖DNAを連鎖結合させることに成功し、千倍以上の感度増幅が認められ、数フェムトモルのテロメアDNAをハイブリダイゼーションアッセイにおいて検出できた。一方、より高感度化が期待できる水溶性の化学発光性デキストラン(平均分子量2000kDのデキストラン分子にイソルミノールとビオチンを多数結合させた化合物)を創製し、同遺伝子の超高感度検出用プローブとしての実用化についても検討している。
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