研究概要 |
本研究計画の初年度である本年度には,以下の準備を行なうとともに,顕著な研究成果を得た. 1)本研究計画は,内部導体型実験装置Proto-RTにおいてRF(2.45GHzのマイクロ波)によるECRHプラズマ生成を行ない,これに電場を印可して高速プラズマ流を発生し,新たな緩和状態(DB平衡)を形成することを目的としている.先ずその準備として,純電子プラズマの発生と安定な閉じ込めを試みた.内部導体の電位を制御することによって,安定な電子プラズマを長時間閉じ込めることに成功した.これは,トーラス磁気面型非中性プラズマ閉じ込めの,世界で最初の実証となる成果である. 2)次に,13MHzのRFを用いて,密度10^<10>cm^<-3>程度の低密度水素プラズマを発生させ,これに内部導体上の電極を用いて電場を印可し,マッハ数が1に達する高速プラズマ流を発生させた.電場と電流の関係を実験的にスケーリングし,中性ガスとプラズマとの衝突摩擦力相当の電流が流れることを確認した.これによって,磁化したプラズマに径方向電場を印可し,プラズマ流を発生させることの基本的な物理メカニズムを確認することができた.この予備実験によって,高速流プラズマ中の電場(したがって流速)の空間分布の精密な計測を行なった.上記の純電子プラズマ(自己電場によって高速回転する平衡)と,ここで述べた低密度プラズマの高速流は,いずれも密度が低いために静電的な平衡状態であり,これを電磁的にするための密度上昇が次年度以降の目標である. 3)次年度以降はECRHによって盛度が高いプラズマを発生し,高速流が電磁的効果(高ベータ効果)を生じることを確認する必要がある.このために,RF電源設備を整備するとともに,電子サイクロトロン共鳴を得ることができるようProto-RTの磁場を増強するパルスモードの改造と電源の整備を行なった.
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