研究課題/領域番号 |
14103006
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
増原 宏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60029551)
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研究分担者 |
吉川 裕之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00314378)
朝日 剛 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20243165)
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キーワード | 光圧 / レーザートラッピング / 分子集合構造 / ナノ粒子 / デンドリマー / 光固定化 / ナノ構造作製 / 原子間力顕微鏡 |
研究概要 |
本研究では集光レーザービームと各種ナノ粒子の相互作用により生じる光圧を利用して、新しい分子集合構造・ナノ粒子配列構造の作製およびその制御に取り組んでいる。平成15年度の研究成果を以下にまとめる。 1.共役系高分子であるポリフルオレン誘導体溶液の溶媒蒸発過程に集光レーザーを導入すると、光圧が作用して糸状の会合体が析出する新現象を見出した。共焦点蛍光顕微鏡を用いた蛍光解析により、会合体の長軸と分子の長軸が直交した特有の構造であることが分かり、これらの研究成果をまとめた論文を投稿中である。また、昨年度の成果であるワイヤー型デンドリマーの光圧による集合構造変化のメカニズムを解明するため、溶液中および固体状態における蛍光スペクトルを詳細に調べた結果、主鎖間の相互作用や共役長と関係することを明らかにし、The Journal of Physical Chemistry誌に発表した。 2.光圧を利用して、高分子および金ナノ粒子を一粒づつ、基板上の任意の場所に固定化する研究に引き続き取り組み、新しい成果を得た。YAGレーザーの集光スポットに直径80nmの金ナノ粒子を光捕捉し、高強度紫外パルスレーザーを照射することにより、より小さなクラスター状に金を固定化する新技術の開発に成功した。これらの成果をまとめてアメリカ・カリフォルニアで開かれたSPIE学会で報告し、Proceedings of SPIE誌に発表した。 3.走査型プローブ顕微鏡を購入し、顕微鏡下で光捕捉、表面形状測定、蛍光分光測定が可能なシステムの作製し、光圧を利用して高分子や生体分子を基板上の任意の位置にサブミクロンの大きさで配列させる新技術の開発に取り組んでいる。高濃度高分子溶液の数ミクロンの液膜にレーザーを導入することにより集光位置にサブミクロンの会合体を析出させることに成功し、第64回応用物理学会学術討論会において研究成果を発表した。 4.温度変化により分子構造変化が誘起され、それに伴い蛍光・吸収スペクトルの変化するポリチオフェン分子を、再沈殿法によりナノ粒子化することに成功した。作製条件により粒径、蛍光・吸収特性やその温度依存性を制御可能であり、光圧に特有の集合構造が得られる格好の分子材料を作製することが出来た。現在、この研究成果をまとめた論文を準備中である。
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