研究課題
先にわれわれは高分子鎖の端に2-メチルビリジニウム基を結合すると、シクロデキストリンは広い口の方(2級水酸基側)から取り込まれることを見いだした。今回、さらにこの2-メチルピリジニウム基を高分子鎖の中に組み入れることにより、シクロデキストリンの輪は一定方向に優先的に並進運動をすることを見いだした。2-メチルピリジニウム基の両端はメチレン鎖で熱力学的には同じ安定性であるにもかかわらず、シクロデキストリンの輪は一定方向に移動することを明らかにした。また、シクロデキストリンの輪を反対方向に取り込ませることにより、並進運動の速度は50倍以上速くなることも見いだしている。さらに先にシクロデキストリンと種々のラクトンを混合し、加熱することにより、ポリエステルが選択的に生成することを見いだした。今回、そのメカニズムを検討したところ、1 ラクトンがシクロデキストリンの環内に取り込まれる。2 ラクトンがシクロデキストリンの水酸基と水素結合をし、活性化される。3 シクロデキストリンの二級水酸基がラクトンのカルボニル基を攻撃し、エステルが形成される。4 さらにラクトンが順次、シクロデキストリンの環内に取り込まれ、シクロデキストリンとエステルの間に挿入される。シクロデキストリンには多くの水酸基が存在するが、その内の1つの水酸基だけにポリマー鎖が唐合する。これはラクトンが開環してシクロデキストリンの1つの水酸基にエステル結合すると、その部分が活性点になり、他のラクトンが次々と開環重合して、ポリマーが得られるものと考えられる。また、精製した中間体ではラクトンの重合が進行しないが、高分子鎖をシクロデキストリンで取り込ませ、伸長させることでラクトンの更なる重合が進行することを見いだした。このことは重合の際、シクロデキストリンがポリマー鎖を取り込み、生体系でのシャペロンタンパク質の役割を果たしていることが明らかとなった。
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