研究分担者 |
松下 範久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (00282567)
福田 健二 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (30208954)
奈良 一秀 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助手 (60270899)
山田 明義 信州大学, 農学部, 助教授 (10324237)
|
研究概要 |
本研究は,根圏共生系における共生機能の解明を目指し,マツ林をはじめとする森林における外生菌根の機能について明らかにし,以下の成果が得られた。 1)森林における根圏共生系の全体像把握 ・アカマツ林において,外生菌根の現存量とその季節変化について調査した結果,外生菌根の現存量は夏季に上昇する傾向にあり,菌根の平均乾重は124kg/haと推測された。 ・富士山火山荒原の一次遷移過程において,ミヤマヤナギの後に侵入・定着したカラマツとダケカンバ幼木の外生菌根菌群集を調べた結果,両樹種ともミヤマヤナギ下で確認された外生菌根菌が優占していることが明らかにされた。 2)根圏微生物間の相互作用解明 ・アカマツ林内にシャクジョウソウとギンリョウソウの果実を埋め込んだ結果,両植物ともに菌類との共生発芽に成功した。ギンリョウソウでは,ベニタケ科との関係が示唆され,外生菌根菌を介した菌-植物の3者共生系が明らかにされた。 3)外生菌根菌類群集,特にアカマツ-マツタケ共生系の特性解明 ・光環境の異なる条件下においてアカマツ実生苗へマツタケ菌を接種した結果,光強度の低下に伴い外生菌根形成率が減少する傾向が認められ,光強度の弱い場合には,宿主の成長量が対照区(マツタケ非接種)より小さくなることが明らかにされた。 4)根圏共生系の機能動態の解明 ・丹沢山地において,シカによる林床撹乱とブナ成木の衰退とが菌根共生に与える影響を調べた結果,ブナ成木の衰退は細根量の低下と菌根タイプ数の減少をもたらすこと,シカによる菌根量への影響は見られないこと,などが明らかにされた。
|