研究課題/領域番号 |
14104011
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅村 和夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20117360)
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研究分担者 |
石井 直人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60291267)
田中 伸幸 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60280872)
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キーワード | サイトカイン / 抗原提示 / 細胞内小胞輸送 / 抗原提示細胞 / T細胞補助シグナル / 炎症反応 |
研究概要 |
1)免疫反応に関わる細胞内小胞輸送系の研究 STAM1,STAM2(STAMs)およびHrsは複合体を形成し細胞内小胞輸送に密接に関わり、引いては種々のシグナル伝達分子の制御にも関わっている。今年度はHrs欠損による細胞内蛋白の輸送・分解制御を検討した。Hrs欠損細胞においてはSTAMs蛋白がほぼ消失しており、プロテアソーム依存性に分解されていた。同時に細胞内オルガネラ観察により巨大エンドソームの形成が認められた。この小胞にはユビキチン化蛋白の蓄積が認められ、実際にこれに一致して細胞内ユビキチン化タンパク総量の異常が確認された。従って、Hrs複合体は細胞内ユビキチン化蛋白の輸送・分解に重要な役割を負っていることが示唆された。一方、抗原提示細胞特異的にCreを発現するLysM-Creマウスを用いSTAMsをダブル欠損する樹状細胞(DC)を調整することに成功した。このDCを用いて抗原提示能を検討した結果、STAMs欠損によりMHCクラスII含有小胞(CIIV)が著しく減少し、同時に細胞表面における発現が有意に増強しており抗原提示能の亢進を認めた。以上の結果からこれら小胞輸送蛋白は免疫系においても大きな役割を果たしていることが判明した。 2)T細胞補助シグナルと自己免疫発症 T細胞補助シグナル伝達分子であるOX40は、エフェクターT細胞の生存に重要な役割を果たす。今年度の研究により、エフェクターT前駆細胞に過剰のOX40刺激を与えると、CD25陽性制御性T細胞による免疫抑制を回避し、免疫寛容が破綻することが明らかになった。それにより、炎症性腸疾患や粥状動脈硬化などの炎症反応が惹起される可能性が示唆された。今後、上記疾患を含む炎症性疾患や自己免疫疾患に対する、OX40-OX40リガンド系を標的とした免疫療法の開発に向けた基礎的研究を展開していく予定である。
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