研究概要 |
1)免疫反応に関わる細胞内小胞輸送系の研究 我々が以前に遺伝子単離したVHS蛋白であるSTAM1,STAM2,Hrsは細胞内小胞輸送に関わる重要な分子群である。今年度の研究によりSTAM1/STAM2二重欠損マウス由来樹状細胞を用いた研究により、STAM1/STAM2が抗原提示細胞の抗原提示能制御に大きな役割を果たすことが判明した。他方、SiRNAによりHrs発現を減弱させた種々の癌細胞株を用いた研究により、Hrsが癌細胞の転移能を規定する重要な機能を有することが明らかになった。以上の結果から、これら小胞輸送関連分子は免疫系を含む生体機能に大きな役割を果たしていることが示唆された。 2)T細胞補助シグナルと自己免疫発症 T細胞補助シグナル伝達分子であるOX40は、CD4陽性T細胞の生存に重要な役割を果たす。そのリガンドであるOX40Lは抗原提示細胞特異的に発現すると考えられてきたが、活性化CD4陽性T細胞上にもその発現がみられることが分かった。さらに、OX40L遺伝子欠損T細胞を用いた実験により、T細胞上のOX40LがT細胞-T細胞相互作用を介してOX40シグナルを供与することにより、CD4陽性T細胞生存に促進的に機能することが明らかになった。T細胞上にOX40Lを人為的には発現させたOX40L-Tgマウスが炎症性疾患を自然発症することから、T細胞上のOX40Lの炎症反応における役割について明らかにしていく予定である。
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