研究課題/領域番号 |
14104012
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永井 良三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60207975)
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研究分担者 |
前村 浩二 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90282649)
眞鍋 一郎 東京大学, 大学院医学系研究科, 特任教員 (70359628)
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キーワード | 組織リモデリング / 転写因子 / 創薬 / 動脈硬化 / 生活習慣病 / 遺伝子改変マウス / Klotho / KLF5 |
研究概要 |
転写因子KLF5/BTEB2は心血管系組織リモデリングに重要である。本研究では、(1)KLF5の分子機能を他因子との相互作用に着目して解析すると同時に、様々な臓器の組織リモデリングにおける機能をin vivoで解析すること、(2)組織リモデリングに重要な新たな転写因子を同定すること、(3)これらの研究結果に基づいた組織リモデリングを抑制する治療法の開発を目的とする。また、(4)老化関連遺伝子Klothoの機能解析と治療応用を進める。今年度の研究によって、KLF5が代謝ストレスに対する脂肪細胞や骨格筋細胞、膵島細胞の機能制御に重要であることが明らかとなった。また、KLF5のストレス応答の機能の結果として、脂肪や膵臓などの代謝関連臓器でも組織リモデリングが生じることを見いだした。これらの結果は、KLF5が代謝ストレスに応じて進行するメタボリックシンドロームの各種臓器機能異常を、動脈硬化の伸展とともに制御していることを示唆するものである。また、組織リモデリングに関連して活性化した線維芽細胞で選択的に発現する遺伝子Fsp1のプロモーター領域をクローニングし、このプロモーターで発現が制御されるCre遺伝子発現マウスを作成した。このマウスでは、線維芽細胞が活性化された場合にCre遺伝子の発現が生じることを確認した。このマウスを用いることにより組織リモデリングに重要な線維芽細胞の機能をin vivoで検討することが可能になる。また、KLF5阻害薬であるAm80が血管において臓器保護的に働くだけでなく、代謝臓器においても代謝ストレスへの応答を改善する結果を得た。この結果は、今後、メタボリックシンドロームと動脈硬化が、ストレス応答として同時に進行しているという観点から、Am80など、ストレス応答の転写制御機構に作用する薬剤の開発が重要であることを強く支持するものである。
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