研究課題
基盤研究(S)
(1)NECC1/HOP遺伝子機能解析:NECC1 KOマウスを作成し、胎盤における組織構築の変化を解析した結果、NECC1野生型に比し、KO胎盤では巨細胞の肥厚及び海綿状栄養膜細胞の発生障害が観察された。マウス胎盤におけるNECC1発現は一過性に認められ8.5-11.5dpcにのみ発現を認めた。マウストロホブラスト幹細胞さらには幹細胞としての性格を有するRCHO細胞を用い、様々な手段で分化を誘導し分化誘導におけるNECC1機能を解析した。NECC1は幹細胞から巨細胞への分化を負に制御していることが判明した。一方NECC1はエストロゲン存在下におけるホルモン依存性癌の細胞増殖を負に制御した。E2により活性化したsrc/AkrシグナルはSRFに伝達され、NECC1はそれを負に制御するためであることを明らかにした。(2)MDM2siRNAによるMDM2蛋白発現抑制のER発現(+)、MDM2蛋白発現亢進、p53野生型癌細胞を用いsiRNAによるMDM2蛋白発現抑制効果を解析した。MDM2siRNAはこれら癌細胞でのMDM2蛋白発現を顕著に抑制した。MDM2蛋白発現抑制に伴い細胞はGo/G1期に集積し増殖抑制が観察された。平坦化及び巨細胞化といった細胞形態変化が出現し、β-Gal陽性細胞も出現したためがん細胞老化が誘導されたと示唆された。(3)SP1阻害剤MithramycinによるMDM2蛋白発現抑制;Mithramycinは抗白血病薬として米国での使用承認を受けている。最近転写因子SP1の阻害作用を保有することが判明した。SP1蛋白発現を抑制することによりMDM2プロモータ領域中のSP1結合サイトを介したMDM2蛋白発現を抑制する。Mithramycin(20-60nM)をp53野生型癌細胞に投与すると細胞はアポトーシスにより死滅する。SP1蛋白の低下及びp53蛋白安定化が観察された。MDM2蛋白量はMithramycinによるp53蛋白安定化を反映し増大した。MithramycinはMDM2P1プロモータ活性を抑制し、二次的にp2プロモータ活性を亢進した。P2プロモータ活性にはMDM2 G309T一塩基多型が関与していた。
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