研究概要 |
本研究はRLGS法で検出された60個の異常DNA断片について解析を行うものである。平成14年度以前に11個、平成14年度に15個を同定している。この度、平成15年度には新たに20個のクローニングを試みた結果、その16個の同定に成功した。即ち、現在までに癌で異常DNAメチル化を受ける42個のDNA断片を同定しており、これは全体の70%に相当する。この42個のうち、遺伝子に関連した情報(ESTや仮想遺伝子を含む)のあるものが38個であった。ゲノム解析、及び文献検索によって38個の遺伝子のほとんどが新規遺伝子か、あるいは発がんにおいて未知の機能を有している既報の遺伝子と考えられた。さらに進んで、平成14年度にクローニングした新規遺伝子1個と、癌でのメチル不活性化が知られていない既報遺伝子の4個の計5個について集中的に機能解析を行った。ASCLと名づけた新規遺伝子は、細胞増殖抑制作用とアポトーシス誘導能を有していることが明らかとなり、新規の癌抑制遺伝子として掲載予定である。さらにASCLはcaspaseの他にも細胞分裂期に重要な働きをするanaphase promoting complexと相互作用することが示唆されており、詳しく解析中である。既報の4個の遺伝子はSOCS-3,WNT10B,cell cycleに関したタンパク質、機能不明の膜輸送体である。この4個についても細胞増殖抑制作用が明らかとなっている。また、SOCS-3とWNT10Bについてはそのタンパク質が関与する発がん経路での役割についても実験的に解明しており、論文の作成がほぼ終了している。今後、新たに同定した遺伝子についても重要と考えられるものについて、その機能解析に着手する。機能解析に及ばない遺伝子については短報として発表することを考えている。また、未同定の18個のDNA断片についてもクローニングを試みる、
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