研究課題
研究目的魚類、両生類、鳥類などでは内分泌撹乱化学物質の性ホルモン作用撹乱について、生態学研究を含め多くの報告があるが、高等哺乳類への影響に関しては依然議論が多い。他方、ダイオキシンやPCBによる神経発達への悪影響は、構造が類似する甲状腺ホルモンへの撹乱作用ではないかと推察されている。甲状腺ホルモンは胎仔神経系発達には必須のホルモンであり、その不足は神経発達後遺症を残すことが知られている。本研究ではラット、サル類、チンパンジーを用いて環境化学物質の代謝および毒性を特に神経発達の面から総合的に解析し、ヒトへのリスクの外挿を試み危害を評価することを目的としている。研究の経過と成果1)ビスフェノールAを妊娠期に投与したカニクイザル(2群30頭)について、次世代への影響の行動学的評価を進めている。これまで4段指迷路試験、アイコンタクト試験、2回の出会わせ試験を行い、現在薬物負荷試験を実施している。これまでの試験(4段指迷路、アイコンタクト試験)では、対象群との差は見られていない。2)カニクイザルの血清を用いて予備的にPCBの汚染状況を確認したところ。個体差があること、個体によってはヒトと同様のレベルの汚染があること、少数例ではあるが高濃度汚染ザルから生まれた次世代個体で4段指迷路試験の成績が劣る傾向が見られた。現在高濃度汚染群と低濃度汚染群を用いて、次世代への影響評価を始めている。3)F344ラットに3種類の水酸化PCB異性体を投与し、次世代への影響を評価した。In vitroで甲状腺ホルモン阻害作用の見られた分子種、見られなかった分子種ともに、母体の体重、出生子数、性比、産子の成長に影響はなかった。現在行動試験を進めている。
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